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自然環境に恵まれているためにコハクチョウ、カモ類など6万羽以上の渡り鳥が越冬のために飛来し、ラムサール条約湿地登録認定を受けている日本最大の湖・琵琶湖。その辺に近江最古の大社である白鬚神社があります。

青に染まる琵琶湖と沖の島


建立2000年の歴史ある白鬚神社


国道の向こうに湖上の大鳥居がある


東から昇った太陽を湖越しに浴びる湖西・近江地域。白鬚神社は琵琶湖西岸のほぼ真ん中に位置する高島市にあります。

初めて琵琶湖を目にする人は、日本の他の湖の景観とは一線を画す雄大さに驚くことでしょう。湖水の向こうには琵琶湖最大の島、沖の島が浮かび、その前を漁船が一筋の波を残して進んでいきます。

驚かされるのはスケールの大きさだけではありません。水の美しさが際立っているのです。
湖岸に立って見下ろせば湖底の石や岩がくっきり見えます。

琵琶湖に通年暮らす鳥も多いのですが、コハクチョウやカモなどの多くの鳥が琵琶湖を越冬場所として利用しています。飛来する鳥の数は6万羽を超え、「定期的に2万羽以上の水鳥を支える湿地」という、湿地の保存を目的とした国際条約である“ラムサール条約”の基準を満たし、琵琶湖はラムサール条約の認定を受けています。

鳥たちが琵琶湖の水を好むのには理由があります。たとえば、高島市には針江と呼ばれる地域がありますが、ここは湧き水の地として知られています。湧き水は現在でも生活用水として用いられ、住民たちは水を美しく保っています。

また、琵琶湖西岸に流れ込む安曇川(あどがわ)は滋賀と京都の県境近い山中に水源がありますが、この川は鮎が棲む美しい川として、釣り人たちに愛されています。

美しい水と川、それによって育まれる虫などが鳥たちを引き寄せるのです。

白鬚神社詣では、美しい景観に恵まれた琵琶湖の西岸へのドライブになります。さらに、歴史を知っていれば、さまざまな光景がイメージできる行程でもあります。

湖東には織田信長の安土城がありました。湖西にあったのは謀反を起こした明智光秀の城下町です。さらに、織田信長の軍勢は琵琶湖を船で横断して比叡山を焼き討ちにした(1571年)という説が残っています。

また、「源氏物語」の作者である紫式部は、越前国司として赴任する父・藤原為時に従ってこの地を通り、その時に一句詠んでおり(996年)、その石碑が白鬚神社にあります。

 ――みおの海に 網引く民の てまもなく
      立ちゐにつけて 都恋しも――

琵琶湖は美しい自然と壮大なる歴史物語に満ちています。

紫式部の歌碑が境内にある


上の宮には天照皇大神宮や天満神社が


境内の最上部にある岩戸社


湖西の国道161号を沖の島と琵琶湖の景観を楽しみながらドライブ。やがて、近江高島駅に近付くと「白鬚」と名称に付く飲食店などの看板が目立つようになり、湖上に鳥居がある白鬚神社に到着します。

創建は資料によると約2000年前。近江最古の神社と謳われているのも納得です。

歴史があるために縁結び、開運招福、学業成就などをはじめ、紫式部が詠んだことでもわかるとおり、京都から越前方面への通り道になっていたために交通安全、湖上交通の発達に伴い航海安全などにもご利益があります。

また、近隣の人たちは「白鬚さん」「明神さん」と親しみを込めて呼んでいました。白鬚から連想されるように延命長寿、長生きの神様として信仰され、そのご利益を授かりに訪れる人も少なくありません。

祭神は猿田彦命(サルタヒコノミコト)。「古事記」などによれば、天孫降臨の際に天照大神に遣わされたニニギノミコトを道案内したと記載されています。

現在の社殿は豊臣秀吉の遺命によって、その子である秀頼が造営したものです。

貧しい家に生まれた木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)は、18歳の時に織田信長に仕え、その後に組頭、足軽大将に出世します。さらに、美濃攻め、稲葉山城攻め、小谷城の戦で武功をあげ、ついに12万石と小谷城を与えられます。

小谷城があったのは現在の滋賀県長浜市、琵琶湖の東岸に面したエリアです。

豊臣秀吉が一城の主になった長浜と、そこから見ていた琵琶湖の壮大な景色。生涯の最後に思いを馳せたのは美しい琵琶湖の景観だったのでしょうか。

元々の本殿は四角い姿でしたが、明治時代の拝殿再建の時に本殿に繋いだために現在は複雑な屋根の形式になっています。

このあたり事情を知って訪れるとおもしろいと思います。

琵琶湖の水の美しさに魅了される


たかしまびれっじのワニカフェ


近江高島駅の前にあるガリバー像


白鬚神社ではゆっくりした時間を過ごせます。

本殿から国道を渡って湖上の大鳥居に近付くと、湖岸に石段があります。そこに座って眺める琵琶湖が時を忘れさせるのです。

時々行き交う漁船、ボート。飛び立つ水鳥。透き通った水の中には魚も見つかります。

白鬚神社での時間を楽しんだ後は、近江高島駅周辺に立ち寄りたいものです。近江高島駅のほど近くには古民家を再利用した「たかしまびれっじ」と呼ばれる施設があります。

旧城下町の築150年を数える旧商家を地元商工会の有志がコツコツと改修して再生したもので、キャンドル作り体験ができる舘、染色工房、ベーカリー、カフェ、琵琶湖のネイチャー体験をガイドしてくれるお店などが軒を連ねています。地酒の醸造所も隣接しています。

近ごろでは知名度もアップして、たかしまびれっじを訪れるために近江高島駅にやって来る人も増えたと地元の人が教えてくれました。

写真の「高島ワニカフェ」は築100年の納屋を改装したイタリアン・カフェレストランで、地産の野菜や魚、近江牛などを利用したパスタやイタリアンを楽しめます。

事前予約が必要ですが、ネイチャークラフト、アイスクリーム作り、本格的なバウムクーヘン作りに挑戦したいのなら、「ガリバー青少年旅行村」に行くという手もあります。

実はこのテーマパークの存在は知りませんでした。近江高島駅を訪れたとき、駅前広場になんとも場違いな(笑)ガリバー像があるのを発見したのです。

「なんでここにガリバー!?」と思って調べてみると、体験施設やバーベキューなどができる旅行村がありました。

白鬚神社に参拝して歴史を振り返り、琵琶湖で自然を楽しみ、現在的なテーマパークで遊ぶというおでかけも悪くはありません。

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●白鬚神社
http://shirahigejinja.com/index.html
●滋賀・びわ湖 観光情報
http://www.biwako-visitors.jp/
●たかしまびれっじ
http://www.takashima-kanko.jp/spot/takashima/498.html
●ガリバー青少年旅行村
http://www.gullivervillage.jp/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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