1. Smart Accessトップ
  2. スポット特集
  3. オートキャンプ特集
  4. 第1章 いまこそキャンプをはじめよう!

大人たちは都会の喧噪を忘れさせる大自然のなかで、ゆったりとした時に身を任す。
子どもたちは、「自然」を駆け回りながら、教科書では学べない自然の魅力を知る。
大人を癒し、子どもたちを成長させる。そして大自然の中で“気持ちがひとつになっていく”、それがオートキャンプの魅力のひとつだろう。
自然はさまざまなことを教えてくれる。晴れの日もあれば、雨の日もあるから、そこに身を置くことで家の中にいてはわからなかったことに気付く。身近に野鳥がいれば、動物が棲んでいる形跡も発見できる。大自然の中で行うオートキャンプでは、身の回りのすべてが“先生”なのだ。
また、キャンプ場では日本各地から来たキャンパーたちに気軽に声をかけたのが縁で、キャンプ仲間ができることもある。そのおかげで見知らぬ土地がわかるし、会社関係の人では得られない知識の吸収も可能だ。大人であっても多くのことを学べるのがオートキャンプなのだ。
自分の世界を広めるツールとしてオートキャンプをはじめてみよう。

●オートキャンプ場
大きな特徴としては、「オートキャンプ場」はサイト(区画)がはっきり決めていることがあげられる。乗用車やキャンピングカーなどを区画サイト内のスペースに置けて、芝生スペースにテントやタープを立てられるのだ。
キャンプサイト内に車が止められるので、離れた駐車場に止めた車から苦労して多くの荷物を運ぶ手間がなく、ビギナーや子どもが小さい家族にはもってこい。
最近のオートキャンプ場は施設が充実しており、水洗トイレやシャワー室はもちろんのこと、温泉、露天風呂、サウナ室があるところも。さらに、区画サイト内にAC電源の設備や水道、流し台が完備したオートキャンプ場もある。水道と流し台があればその場でクッキングなどができるし、極端な話、AC電源があれば「電気釜」も利用可能なのだ。まさに、自宅のキッチンがそのまま野外に出た感覚で使えるのだ。
さらに、オートキャンプ場のなかには場内に遊具施設や釣り堀、サイクリングコース、各種の体験教室を設けているところもある。オートキャンプ場内で1日楽しく遊べるようになっている。
サイト料金は高くなるが、初心者やキャンプにも機能性を求めるのなら、上記のような高規格のオートキャンプ場をおすすめしたい。

○社団法人日本オート・キャンプ協会
http://www.autocamp.or.jp/

●キャンプ場
フリーサイトが基本。オートキャンプ場のようにサイトが区画整理されておらず、エリア内のテントスペースに自由にテントを張れる。
ただし、オートキャンプ場との大きな違いは、サイト内まで車を乗り入れられないことだ。車は駐車場に置いて、テントを張る場所まで荷物を運搬しないといけない。また、AC電源や水道設備がサイト内に設けられてはおらず、共同の流し台などを使うことになる(AC電源はほとんど期待できない)。
日本のキャンプ場は元来、登山愛好家などがテントを張るためのスペースとして発展した経緯もある。つまり、“キャンプ場で1日遊ぶ”というよりも、登山に出かけたり、周囲を散策するためのベースになるのがキャンプ場だったのだ。
近年は、キャンプ場によっては車の乗り入れ可能なフリーサイトがあったり、水洗トイレやシャワールームを設置したところもあるが、そうでないキャンプ場も多くある。
しかし、“自然の中で過ごす”という面ではキャンプ場は魅力的だ。
写真提供:モビリティーパーク

「オートキャンプ場に行って、自然の中で家族や仲間と過ごしたい。しかし、今後続けるかどうかわからないのに、テントやタープなどのキャンプ用具を揃えるのは勇気がいる。さらに、テントやタープを立てたりするのはちょっと……」
こんな人におすすめなのが、オートキャンプ場内にある“コテージ”や“トレーラーハウス”といった宿泊施設。
屋内で快適に過ごすことができるうえ、バーベキューなどのアウトドア料理も楽しめるし、オートキャンプ場内でのびのび遊ぶこともできる。
基本的には食料なども持ち込めるので、別荘に行った感覚で楽しめるのが魅力だ。
はじめての人はコテージなどを利用し、“お試しオートキャンプ”がいいだろう。そして、ベテランキャンパーと親しくなったり、ほかのキャンパーたちのテントやタープを張るテクニックを見学するのも手だ。
まわりのキャンパーの様子を見て、次回はキャンプ用具を揃えて挑戦してみるのもいいだろう。
なお、オートキャンプ場によっては、モンゴルの遊牧民が使っている“パオ”などを設置しているところもあるのでチェックしてみよう。

オートキャンプ
定められた区画サイト内に車ごと乗り入れることができ、その区画内にテントなどを設置して、行うキャンプスタイル。

サイト
実際にテントやタープを設営するエリア。フリーサイトと区画サイトの2種類がある。フリーサイトは決められたエリア内にて自由にテントなどを設営でき、区画サイトは、ロープなどでスペースが決められたサイト(例:10m×10m)の中でキャンプを行う。

3シーズン
春・夏・秋の季節を指す。この3シーズンは快適にキャンプをすることが可能だが実際のところはオールシーズン楽しめる。

デイキャンプ
日帰りキャンプのこと。グループなどでバーベキューを楽しむ利用客が多い。キャンプ場によってはデイキャンプを受け付けていないところもあるので要チェック。

テント
キャンプ場に設営する“宿泊スペース”。かつては三角型のテントが主流だったが、組み立てやすさ、移住性の良さを追求して、近年ではさまざまなテントがメーカーより発売されている。宿泊する人数、組み立てやすさなどを初心者は考慮することが大切。タープと一体型のものもある。

タープ
キャンプ場で過ごす時に快適なリビング空間を作る用具。日差しや、雨をよけるためにも必要で、イスやテーブルなどの上を覆う。
「タープをきちんと張れるか」がベテランキャンパーと、初心者キャンパーの違いといわれるほどで、きちんと張らないと風に負けてしまうことも。
以前は1枚の大型の四角状の布が一般的だったが、近年ではさまざまな“張りやすく、風に強いタイプ”のタープがメーカーから発売されている。

マット
テント内の床の凹凸を安定させ、シュラフの下に敷くことで快適な寝心地を確保できる用具。

シュラフ
テント内で使用する寝袋。種類は、暑い夏に温度調整がしやすい封筒型と、寒い冬場に外気が入りにくく、暖まりやすいマミー型の2種類が主流。

テントレイヤード
冬場のテント内で暖かく睡眠できるように寒さを防ぐ方法。マットを敷いた上に断熱性を高めてくれるパーソナルマットを敷いて、シュラフを敷くと暖かく寝られる状態ができあがる。冬場の快適な睡眠をするうえで覚えておきたい技術だ。

ペグ
テントやタープなどを動かないよう地面に固定させるために使うクギ状の用具。正しい打ち込みをしないと抜けてしまうので要注意。

ペグダウン
ペグを打ち込むこと。

バーナー
自宅で料理を作るときに使用しているガスコンロの役割を果たす調理用具。持ち運びやすく、コンパクトで火口がひとつの「シングルバーナー」。ファミリーキャンプなどの同時に多くの料理を作る時に便利な「ツーバーナー」が一般的。

ランタン
キャンプ場での夜に必要な明かりを放つ用具。カセットガスで初心者でも使いやすいガス式と、強い明かりを放つガソリン式がある。電池式もあるが光量という点では弱い。 ただしテント内では電池式を使用すること。

ホヤ
ランタン上部に取り付けるガラス部分。

マントル
ランタンを使用する時に必要な発光源。むやみに触ったりすると合成繊維なので粉状になってしまい、使用できなくなるので要注意。また、マントルは使用するランタンによって種類が変わるので確認してから購入しよう。

ホワイトガソリン
ホワイトガソリン式のツーバーナーやランタンなどで使用する燃料。様々な添加剤が入っている自動車用のガソリンとは違って、不純物が混ざっていないので、寒冷地などの環境でも常に安定した火力を出すことが可能。

「初めてのオートキャンプ」の前にしておきたいのが“プランニング”。
オートキャンプ場の候補を決めてから必要な用具の買い出し、簡単なタイムスケジュールを組んでおくと当日になって迷うこともない。

行きたいオートキャンプ場が決まったら、まずは予約をしよう。
基本的には電話で行うのがほとんどだが、最近ではネットからでも予約可能なところが増えてきた。
初めてなら自宅から車で2時間以内のところがおすすめ。あまりに遠距離だと、行きや帰りに疲れがたまってしまい、せっかくの楽しいキャンプが台無しになってしまうから。
初めてのオートキャンプでは、テントの設営などにも案外苦労するもの。初めてであれば、労力はテント設営などのために使いたいものだ。
また、キャンプ場周辺の立ち寄りスポットなども事前に調べるといい。

キャンプ場を予約する際にふまえておきたいチェックポイント

□サイトの空き状況(最初のキャンプなら、ある程度キャンパーが入っているほうが心強い)
□施設の確認(ガイドブックではわからない点を確認。水洗トイレは洋式かどうか、シャワールームはコイン式か無料か、どんな施設があるのか、どんな遊び用具があるのかなど)
□オートキャンプ場の環境(林間なのか、海辺なのか、気温など)
□予約サイトの環境(どの位置にあるのかなどを確認。同じオートキャンプ場でも景色がいいサイト、そうでないサイトがある。また、トイレに近いと匂いが気になったり、トイレに行く人の動きが気になる場合もある)
□料金の確認(大人料金、子ども料金やペットにお金がかかる場合もあるので要チェック。サイト料金、入場料、そのほかに料金がかかるかどうかをチェック。AC電源を使用する場合に別料金を取られる場合も多い)
□チェックイン・チェックアウトは何時か?(チェックインやチェックアウトの時間によって1日のプランニングも変わってくるので確認しておこう)
□キャンプ用具のレンタルはあるか、ないか(レンタル用品が豊富なキャンプ場ならば初めてのキャンプで多くのグッズを買わなくてすむ。お試しキャンプや初めてキャンプなら、なるべくコストがかからないようにしよう)
□キャンセルのルール(当日行けなくなってしまった場合に、キャンプ場によってはキャンセル料がかかることがあるので事前に調べておこう)
□ペット連れ込みに関して(ペット連れ込みの可否、連れ込んだ時のリードなどの条件などを確認しておく)

モデルプラン
予算決め→目的地選び→オートキャンプ場選び→予約→用品準備→車への積み込み→出発→チェックイン→設営→自由時間・夕食→片づけ・夜の憩いのひととき→就寝→朝食準備→朝食→自由時間→撤収→チェックアウト→帰宅

自宅からまっすぐキャンプ場をめざしていくのもいいが、せっかくのお出かけなのだから観光スポットへ寄り道してみよう。訪れた場所で現地特産の食材を購入して、その後のバーベキューなどで食べるのもいい。

オートキャンプ場は、どんなシチュエーションで楽しみたいかで選ぼう。
オートキャンプ場がどこにあるかによって、ずいぶん遊び方は変わってくる。

親子でカブトムシ、クワガタなどの昆虫採取を楽しみたい人。大自然に立ち続ける木々や緑が生み出す澄んだ空気に囲まれたなかでキャンプをしたいという人は【林間サイト】
林間サイトのメリット
自然の息吹が感じられる。日差しが直接当たらずに涼しい。
林間サイトのデメリット
虫に悩まされることも。

吹き抜ける風が心地よい草原と、子どもたちが走り回りやすい平地、開放的な気分でキャンプを楽しみたい時や、夏に涼しさを求めるならば【高原サイト】
高原サイトのメリット
夏でも涼しい。開放感がたまらない。
高原サイトのデメリット
夜間は気温が下がる。ハチやアブがいることも。


夏の暑い時期には最適で、海ならば海水浴、川辺ならば冷たい清流で水遊びも満喫できるキャンプをするなら【水辺サイト】
水辺サイトのメリット
海水浴や川遊びがすぐにできる。
水辺のサイトのデメリット
日よけが少なくテント内が暑くなりやすい。

※上記は一例で、「川辺の林間サイト」のようなミックス型も多い。また、夏は「高原サイト」でも紅葉が楽しめる秋には「林間サイト」のように季節に応じて使い分けるもの手だ。

オートキャンプ場の施設はとても充実している。
初心者や女性、小さな子ども連れの家族も心おきなく初めてのキャンプを楽しもう。

自然をベースにして行うキャンプだからこそ環境を守りながら楽しまなければならない。
ゴミの処理もそのひとつ。ゴミの内容も捨てる際に細かく区分けし、処分するのが好ましい。ゴミの分別方法についてはキャンプ場によって異なるので事前に確認を。
ベテランキャンパーは野菜などの皮は事前にむいてくる、肉類もタッパーに入れてくるなどの「ゴミを出さない」工夫をしている。オートキャンプ場は自然の中の施設。なるべくゴミを出さないよう、出発前に食材などの下準備をしておくといい。

他のキャンパーと共同で使う炊事場。野菜を洗うなどの食事の下準備や食器洗いなどはここで行う。
自分たちだけで長時間占有するのは他のキャンパーの迷惑となるので注意。
また、キャンプ用の“自然を汚染しない環境にやさしい洗剤”が売られている。小さいことにも配慮するのが賢いキャンパーだ。


野外生活であっても清潔に過ごすことができる施設がシャワー室・風呂。シャワーについては10分で300円などの“コイン式シャワー”が設置されているケースが目立つ。

キャンプ場によっては風呂の設備を整えているところも。癒しを求めるならば温泉付きのキャンプ場がおすすめ。オートキャンプ場で露天風呂という幸せなひとときも夢ではない。


オートキャンプがブームになりつつあった時に、「オートキャンプ人口を増やすためにはママの気持ちを大事に」という動きがあった。
その結果、現在ではウォシュレット付きトイレを設置しているオートキャンプ場も少なくない。
さらに、バリアフリートイレを設置しているキャンプ場もあるので確認してみよう。



オートキャンプ場の“中枢”といえる施設。
管理人さんがいて、チェックインやチェックアウトもここで行う。
管理人さんは初心者が問題に直面した時に、心強い味方になってくれる。
また、管理棟内やその近くに売店を完備しているところが大半だ。ここにはレンタル用キャンプ用具もある。さらに、バーベキューなどで使用する炭や薪、忘れてしまった場合に助かる歯ブラシやシャンプー、小腹が空いた時にうれしいカップ麺などを売っているケースも多い。
なかにはバーラウンジや飲食店、コインランドリーなどが設備されているところもある。
いずれにせよ、売店の販売品はオートキャンプ場で違いがある。このあたりも事前チェックが必要だ。





キャンプ場に子どもを連れて行くうえで気になるのがトイレは”どのような環境なのか”だろう。キャンプ場にもよるが、ほとんどの場合、管理棟などの周辺にあるのが相場。管理棟のそばなら人の出入りもあり、ライトなどもついていて子どもたちだけでも安心して利用できる。
それを考えると、管理棟に近いサイトを予約するのがベターだ。
また、トイレの形式はオートキャンプ場によってまちまち。子どもによっては和式に慣れていない場合もある。このあたりのチェックも忘れずに。