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日本にも金山があります。佐渡金山(新潟県)や土肥金山(静岡県)をはじめ、北海道から九州まで金を採掘した場所は点在しています。また、川で砂金掘りができる場所となると、全国には数え切れないほど。砂金掘り体験してみませんか?

叔父・篠遠喜彦の著書の1冊


美しい清流の河原に砂金がまじる


これほどの砂金は集まらないけれど…


祖父の名前は篠遠喜人という。彼は信州出身の生物学者で、日本にメンデルの法則を伝えた。
東京大学で教授、名誉教授となった後に、自身の信念を貫いて、ICU(国際基督教大学)の設立に関わり、その後に学長を務める。
彼は生物が専門だったからゼミに利用したり、自然の中で過ごすために故郷の諏訪に近い蓼科に山小屋を設けた。
そこで昆虫を観察し、ときには山小屋の下に流れる渓流まで行き、河原の生物を採集した。周囲の樹木や草花も、彼が見つめる対象だった。



彼には3人の息子がいた。長男の名前は篠遠喜彦という。
祖父の影響もあったのか、やたらに地面を掘るのが好きだった。蓼科のまわりの土地も、ずいぶん掘り返したらしい。もちろん、ショベルカーで掘り返すような大胆なことはしない。手で土を少しずつ掘るという地道な作業だ。
それでも信州のあちらこちらや、母校である東京都下の学校の周囲で、ずいぶんと縄文時代の石器などを掘り当てた。
やがて、喜彦は考古学を学ぶためにアメリカへと渡ることになる。グローバルな考え方をする祖父は、ずいぶん喜んだと聞いている。



時代が時代だけに、叔父・喜彦は戦争が終わってから数年後に船でアメリカ本土に向かい渡航した。いや、渡航するはずだった。
途中で立ち寄ったハワイで遺跡の発掘を手伝い、島の魅力に彼は取り憑かれてしまう。
アメリカの本土に行くのをやめて、ハワイで暮らし始めた叔父は、やがて太平洋のあらゆる島で発掘を行うようになる。太平洋考古学者になったのだ。
釣り針の形や、材質が木材なのか、何の骨なのかなどによって同一民族かを見極め、太平洋の中でどのような移動を行ったか…彼は壮大なスケールの研究を、考古学をベースに行った。
タヒチでは「ドクターシノトがやって来る。土を掘りにやって来る」という歌もできたほどだ。
ホクレア号のベースになった古代海洋民族の巨大カヌーの発掘にも尽力している。



祖父は1989年に94歳で亡くなった。叔父・喜彦は2017年の秋にハワイで天に召された。
現在、叔父の仕事に関しては荒俣 宏氏との共著「楽園考古学」(平凡社刊)や、オアフ島のビショップ博物館にて見ることができる。

金山を再現(土肥金山)


最盛時には100km以上の坑道があった土肥金山


作業風景も再現されていた


僕が小さい頃、夏になるたびに蓼科の山小屋を訪れた。時には祖父やハワイから訪ねてきた叔父が合流することもあった。
祖父は何度か僕ら兄弟を、蓼科から近い和田峠に連れて行ってくれた。



和田峠は「ガーネットが採掘できる場所」として知る人には知られ、それを目的に訪れる人も多い。



祖父たちに連れられて行った和田峠で、僕らの目的は砂金採掘だった。目の細かいザルを祖父は用意していた。
和田峠の清流にザルを入れ、粒子の細かい砂をすくいあげるのだ。ザルの中に砂が溜まったら、今度はザルを清流の水につけて、ザルの中の砂を振る。
そして、水の中で少しずつ上部の砂を清流へと流していく。
砂金は砂に比べて重い。だから、ザルの中で砂を振っているうちに、砂金は底のほうに沈む。
砂金を採集するために、砂金が混じっていない上層の砂を徐々にザルの中から落としていくというわけだ。



「あ、光っている!!」
太陽の輝く日の和田峠は、自然に包まれたとても気持ちのいい場所だ。
清流は太陽を反射する。
ザルの中のわずかに残った砂の中にキラリと輝く粒がある。太陽の光を受けて、美しく輝くので、それが砂金だとわかる。
1mmほどの砂金の粒を、小さな瓶に集めていく。いくらかまとまれば、アクセサリーなども作れるのだが、正直なところ、それほどたくさん集まった覚えはない。
それでも、小瓶の中で光る砂金は宝物になった。



ネットで検索すれば、全国の砂金が採掘できる場所が出てくる。晴れた日は、砂金採掘ドライブも悪くない。案外、すぐ近くにそんな場所は存在しているものだ。

黄金館にあったジオラマ


12億円の金塊があった!


誰でも挑戦できる砂金採り体験


日本にも金が採掘できる金山はいくつもあった。
菱刈金山は鹿児島にあり、1750年(江戸時代)に見つかった。その後に住友金属が開山し、現在では日本の金産出量の約9割を占める。
ここの金は世界有数の良質なもので、推定埋蔵量は約260tと、鹿児島県の資料にある。
ちなみに、その昔に教科書などで「日本一の金山」と習った佐渡金山(新潟県)を平成15年6月に抜いたそうだ。
そのほかにも武田信玄の金山、徳川が管理した金山など、さまざまな金山が日本には存在する。



西伊豆(静岡県)の土肥は、漁港としてだけでなく、金山として繁栄した街だ。
江戸時代から昭和にかけて金が採掘された。当時は佐渡金山に次ぐ生産量を誇り、推定産出量は金40t、銀400t。
坑道は100kmにもおよんだが、昭和40年に閉山となった。
跡地は現在では「土肥金山」というテーマパークになっている。



土肥金山はまさに金山のテーマパークだ。
「観光坑道」は実際の坑道のうちの約350mを整備して歩けるようにした。当時、坑道作業員たちが安全を祈願した山神社や黄金の鳥居、銭洗い場などが設置され、一種の金運パワースポットになっている。
また、電動人形によって当時の坑内作業の様子も見られる。



「黄金館」は千石船(弁財船)や金山総奉行などの様子がジオラマで再現されている。
目玉はなんといっても250kgの巨大金塊である。ギネスブックにも認定された巨大金塊で、それは重々しく、黄金のしぶい光を放つ。
日々の金相場による金額が金塊の上に表示されており、訪れた日は「12億66百万円」になっていた。



「砂金館」は砂金掘り体験ができる場所だ。室内に“川”が再現されており、そこに溜まった砂をパンニング皿(砂金採掘用の皿)ですくい、それを振って砂を徐々に落とし、底に残った砂金を拾うのだ。
30個以上砂金が採集できれば「免許皆伝」として名人に登録されるが、訪れた日にそんな大記録を達成する人はいなかった。
だが、2018年のランキングを見れば、1位は62個、2位は56個と掲示されている。
どの世界にもすごい人はいるものだ。



天然の清流でするか、それともテーマパークで体験するか。それはそれぞれだが、採れた時はすごくうれしいのが砂金採掘体験だ。

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< PROFILE >
篠遠 泉
休日と旅のプロデューサー。主な出版物に『ぶくぶく自噴泉めぐり』『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがあるほか、『温泉批評』『旅行読売』などに執筆中。観光地の支援活動も行っている。
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