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  3. 牛にひかれなくとも善光寺 宿泊してますますのパワーを授かる【長野・善光寺】
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御本尊の「一光三尊阿弥陀如来」は仏教伝来のために、インドから朝鮮半島を経由して552年に伝わったという説が強く、それはまさに“日本最古”の仏像といわれる所以。参道にも“味わい”がある信州善光寺を訪ねました。

1707年に再建された高さ26mの木造の本堂(国宝)


善子、光子の乳牛親子像


「春風や 牛にひかれて 善光寺」

これは俳人・小林一茶の句です。この句に限らず、一茶は善光寺から近い信濃・柏原(信濃町)の出身ですから、善光寺に関連する句をずいぶん多く残しています。

「開帳に 逢ふや雀も 親子連」も一茶の句ですが、善光寺の門前町には所縁のある俳句が刻まれた句碑が立てられ、それもまた参拝者たちを楽しませています。

さて、「牛にひかれて」とはどういう意味なのでしょうか。実はこれは信州の昔話によるものです。



その昔、近所で評判のケチなお婆さんがいました。

ある日、お婆さんが川で白い布を洗濯し、それを干していると、突然現れた牛が白い布をツノに引っ掛けて、そのまま逃げ出しました。

ケチなお婆さんは大あわて! 牛を追ってすぐに走り出します。

しばらく追いかけると、牛は善光寺の境内に入っていきました。お婆さんも続いて境内に来て、お堂に入ってみると、そこは光明に照らされていました。

思わずお婆さんは気を静め、お参りをします。

それ以降、お婆さんの心に仏心が芽生え、近所でも好かれるいいお婆さんになったそうです。

牛は仏さまの化身だったのでした…。



かつて善光寺をお参りしたときに境内で牛の像を見つけ、「なるほど、牛にひかれて…だ」と思ったのをはっきり覚えています。

しかし今回、どんなに探しても、以前見た牛の像が見当たりません。そこでお尋ねすると、「いまは山の上の殿にありますよ」とのこと。残念…! 牛像はもっと上に行ってしまったのでした。

しかし、さらに境内を散策していると、ミルクでおなじみの企業から寄贈された乳牛親子像を見つけました。ま、昔話に出てくる牛とは姿が相当違うと思われるホルスタイン種ですが(笑)。

参拝したら、ぜひ探してみてくださいね!

迫力満点の山門


石畳の両側に店舗が並ぶ参道


手打ちの善光寺そばはいかが?


創建時の史料は残っていないものの、発掘資料や伝承によって、御本尊である「一光三尊阿弥陀如来像」がインドより朝鮮半島を経由して、仏教伝来のために552年に伝わったという説はかなり信憑性があるようです。

となれば、善光寺の大仏こそ「日本最古」のものといえるでしょう。

その後、廃仏派によって捨てられるという事件もありましたが、長野県の飯田市で祀られ、642年に現在の地に遍座しています。

善光寺は創建以来度重なる火災に遭いましたが、その都度如来様を信仰する人々によって復興されました。

参拝者が目にするみごとな本堂は1707年(宝永4年)に再建されたもので、間口24m、奥行54m、高さ26mの圧倒的スケールの木造建築で国宝に指定されています。

本堂の前に堂々と構える山門は1750年の建立です。こちらは平成の大修理において建立時の“サワラ”の板を用いた屋根になりました。楼上の「善光寺」の額が立派です。さらにその先には仁王門があります。

参拝者におもしろいのは山門から仁王門、そしてその下へと続く石畳の参道です。長野駅方面から来ると、山門までの沿道は実に盛況です。

長野銘菓や名物の唐辛子を売るお店、善光寺そばを食べさせるお店が参道両側に軒を連ねています。

わたしが訪れたのは寒い平日でしたが、とくに唐辛子の「八幡屋礒五郎」は大人気でした。おなじみの七味やゆず七味を手にする人、ベースになる七味を選んだあとにお好みでオニオンやナツメグ、沖縄の海水塩などのその他の素材を追加して「オリジナル七味」を作る人…。お店は大賑わいでした。

しかし、参道はただ単におみやげ店や飲食店が並んでいるばかりではありません。

よくみればお店のあいだの路地の先に涅槃釋迦如来が鎮座する「釋迦堂」なども。これもまた重要文化財なのに驚かされます。お地蔵様の姿も見つけました。

2階建てで白い壁や木の梁が目立つ参道の商店街は、歩くほどに発見があるので、お参りの後にぶらり散策するのも善光寺の魅力でしょう。

善光寺の参道沿いや周囲には宿坊が点在


江戸時代に創業した藤屋御本陣


外湯もある別所温泉の北向観音堂


長野は比較的ホテルが多い地方都市です。

それは1998年に長野冬季オリンピックが開催されたのが契機となり、大手ビジネスホテルチェーンをはじめ、さまざまな宿泊施設が揃いました。パワースポットをめぐるドライブにでかけても、宿泊場所に困ることはほとんどありません。

しかし、善光寺をお参りするのなら、パワーがもらえる宿泊施設を選んではいかがでしょう。
まず、おすすめしたいのが「宿坊」です。宿坊とは僧侶や参拝者のための宿泊施設です。善光寺にも参道沿いを含め、39軒もの宿坊があります。

39軒の宿坊にはそれぞれ御堂があり、善光寺如来様に奉仕する住職がいます。2名から宿泊が可能で、「お朝事(朝のお参り)」に住職や宿坊専属の公認案内人が案内してくれます。
また、精進料理も魅力のひとつ。宿坊に泊まって参拝すれば、きっとパワーを授かることでしょう。

仁王門前で目を引くのが「藤屋御本陣」です。仁王門再生建築に腕をふるった越前宮大工の手による大正浪漫にあふれたアールデコ様式。

残念ながら9年前に宿泊業は休止し、現在では結婚式場、レストランとして人気を博しています。泊まることは無理でも、その姿を眺めるだけでパワーを授かった気分になります。

さて、もうひとつのおすすめ宿泊場所は、長野からクルマで1時間弱の別所温泉です。

こちらは信州最古の温泉と呼ばれ、泉質もpH8~9の弱アルカリ性。とくに女性にうれしい肌によい温泉です。

別所温泉をおすすめするのはその泉質と風情ある温泉地の魅力もありますが、もうひとつの理由が「北向観音」の存在です。

北向観音堂は825年に開創されました。焼失などの事故もありましたが、1252年に復興されています。

実は“北向きの本堂”は全国でもほとんど例がありません。それではなぜ別所温泉に北向きの観音堂があるのでしょうか?

その理由は諸説ありますが、そのなかに「南向きの善光寺と対になっている」というものがあります。

善光寺と北向観音の両方を参拝する。そして、信州でもっとも古い温泉にゆっくりつかって日頃の疲れを癒す。

なんだか、翌日からのリフレッシュされた自分が想像できませんか?

「おでかけマガジン」より、みなさまへ読者プレゼント実施中!

●善光寺と宿坊
http://www.zenkoji.jp/
●善光寺表参道商店街ガイド
http://www.nagano-saijiki.jp/
●別所温泉
http://www.bessho-spa.jp/
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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