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  3. 時代にマッチした新感覚神社「東京都・神楽坂赤城神社」
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この連載ではこれまでに多くの神社を取り上げてきました。掲載したほとんどの神社は歴史と風情を感じさせる建物をもち、鎮守の森に囲まれていました。しかし、時代に対応して生まれ変わった神社もあります。その代表格が神楽坂にある赤城神社です。

開放的で幅の広い石段の先、正面には拝殿、左側には蛍雪天神がある


神楽坂商店街の近くにある赤城神社。鳥居や紅葉した樹木は見慣れた光景だが…


拝殿はガラスがうまく利用されており、儀式の様子もよく見える
「岩筒雄命(いわつつのみこと)」を祀る赤城神社は、創建が1300年と伝わる歴史ある神社です。

江戸時代には日枝神社、神田明神とともに「江戸の三社」と称されるほど庶民信仰を集めました。

東京メトロ東西線の神楽坂駅から徒歩1分と近く、周囲には料亭や隠れ家的な飲食店が点在し、名物の大きな「肉まん」を販売する中華料理店、お線香専門店、和菓子店などが軒を連ねる商店街は活気に満ちています。

島村抱月や泉鏡花などの歴史に名を残す文学者が散策した地でもあり、赤城神社は縁結びの神様としても知られていました。

その由緒ある神社が変貌を遂げたのは2010年のことでした。

この地域に暮らす世界的な建築家、隈研吾氏の手によって“空へと続く参道”“総ガラス張りのモダンな社殿”が完成したのです。

神楽坂の散策を兼ねて、赤城神社を参拝しました。

鳥居をくぐると左手に手水舎があるのは普通の神社の様子。

しかし、そこから見える幅の広いモダンな石段と、その先に続く拝殿は、“神社”のイメージとはずいぶん異なっています。

右手にはマンションがあります。ただし、違和感はほとんどなく、新しい拝殿と一体化している感もあります。実は大手不動産会社が定期借地権を設定して分譲マンションを建設。

建物内にはカフェやギャラリーもできました。このカフェもまた赤城神社の新しい魅力のひとつになっています。

ちなみに、期限がきたらマンションは解体して神社の杜に戻す予定だそうです。

思い切った改革が神社の新しいスタイルを生み出しました。

伝統的な部分はたいせつに。モダン建築と日本の伝統文化の融合がおもしろい


七五三の記念に神社へ。赤城神社ではウエディングも人気だそうだ


蛍雪天神の五角(合格)鉛筆。五角形をしており、学科ごとに色分けも。今回のプレゼントは受験シーズンを前に、縁起のよいこの鉛筆を!
拝殿内では着物姿の少年のために、七五三の儀式が行われていました。

ガラス張りのために、その模様は一般の参拝客も目にできます。つい一緒にお祝いしたくなる雰囲気なのです。

社務所にあるお札やお守りは「開運」「家内安全」などさまざまです。

しかし、とくに目立つのは縁結びのそれでした。拝殿の前に設置された「鈴音恋みくじ」が目立つのも印象的でした。

生まれ変わった赤城神社は「ブライダル」にも熱心で、一躍男女の絆を深める神社として評判になっています。

訪れた日は「ブライダルフェア」開催中でした。ブライダルフェアは定期的に開催されており、新生活を迎えようとしているカップルを後押ししています。

さて、もうひとつのご利益は「蛍雪天神」にあります。

祭神は菅原大神。戦災で焼失したものを旺文社の寄付によって再興したもので、蛍雪天神も新しくなりました。

ところで、受験時代を思い出してみてください。

旺文社の参考書にお世話になった方もずいぶんいると思います。

大学受験生であれば、一度は『蛍雪時代』を開いたはず。

1932年創刊という日本でもっとも古い、旺文社発行の大学受験雑誌はこれまでに何万人もの大学受験者を支えてきました。

出版物で受験生の学力を支え、蛍雪天神で受験生の幸運を支えるというわけですね。

隣接して建てられたマンション内に「あかぎカフェ」がある


ランチメニューの一例。境内の静けさとカフェのゆったりした雰囲気がいい


冬の日でも神楽坂には大勢の人が歩いていた。散策が楽しい街並みだ
参拝を終えてから立ち寄ったのが境内の「あかぎカフェ」です。

落ち着きのある、とてもお洒落なカフェ。

店内ではお昼のひとときを過ごす人たちが…。

私が選んだのは特製ポテトホットケーキと豚肉の煮込み、サラダがワンプレートになったランチセットでした。コーヒーか紅茶も付いて1000円を切ります。

メニューをぱらぱらとめくって驚いたのは、生ビールやワイン類も豊富なこと。まわりを見れば、ランチとともにデキャンタでワインを楽しむ女性2人組も。

社殿に隣接したカフェでワインと素敵なランチが楽しめるなんて!

特製ポテトホットケーキと柔らかく煮込まれたお肉をおいしくいただきながら、ゆったりとした時間を過ごしました。

ひとしきり満足してからは神楽坂散策です。

メインストリートの両側にはさまざまなお店が出ていますが、細い路地をぶらり歩くのも神楽坂ならでは。

「こんなところに素敵なイタリアンが」、「ワインバーがあった!」の連続です。

神楽坂といえば料亭、小料理屋さんの“和のイメージ”が強く、確かにそれらのお店も健在ですが、洒落た洋風のお店も増えてきました。

そして、それらのお店にはお昼からビールやワインで寛ぐ人もたくさんいました。

生まれ変わった赤城神社は、日本の伝統を残しながらカフェのような新しい部分も取り入れて注目を浴びています。

その姿は和と洋がマッチして独特の雰囲気を醸し出している神楽坂そのものといえるかもしれません。
< PROFILE >
遠藤 里佳子
旅行雑誌ライター。国内外の旅を多く取材。全都道府県を制覇(通過ではなく宿泊をしてカウント)したのは32歳のとき。ハワイやカナダ、オーストラリア、東南アジア、中国など太平洋圏に詳しい。
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