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  3. 連載第12回 ズームを利用すれば風景写真が大きく変わる
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今回の写真講座では越カメラマンが望遠レンズの特性と利点を教えてくれます。最近では一眼レフカメラに限らず、コンパクトカメラでも望遠機能がアップしています。おでかけのときには望遠レンズを有効に利用してみましょう。


気温の上昇とともに比較的高い山の木々も緑で覆われ、山や高原などにおでかけをするのにとてもよい季節となりました。
この時期の私のおすすめは、湿原や野山へのハイキングです。
湿原や野山を散策していると、道ばたできれいな花を見付けることがあると思います。しかし、なかなか上手く撮れない…、そんな経験をお持ちの方も多いのでは。
ほとんどの場合、その原因は「ズーム」の使い方にあります。多くの方はズームがあっても、なかなか望遠にして撮っていないのです。
早速、具体的な例で解説していきましょう。


写真AとBは同じ駅(JR予土線真土駅)を狙った写真です。
2つの写真の大きな違いは、ひとつは季節と列車の有無です。しかし、それ以上に異なる点は、広角か標準か望遠かという違いです。
写真Aは駅の近くから広角レンズで撮影したものですが、背景の山も小さく散漫な写真になっています。
それに対し写真Bは、少し離れた位置で線路脇の菜の花を手前に入れ、望遠レンズで撮影したものです。背後の山が大きく迫り、手前の線路にカーブが写り込んだことで雰囲気のある写真になりました。



望遠レンズでは遠くのものがより大きく写ることで、前後の遠近感がなくなったように表現できます。
我々プロの世界ではこれを「圧縮効果」と読んでいます。さらに2パターンの具体的例を見ていきましょう。


写真A

写真B



写真C~Eは紫色のポピーを、ズームを変えながら同じ大きさで撮影したものです。
同じ大きさで写すために、撮影している場所はズームを望遠側にするほど被写体から離れています。
写真Cでは菜の花畑やその背後の木立は遠くにあります。
写真D、Eになるに従い背後の風景は大きくなり、写真Eではかなり近くまで迫って来ているように見えます。
同時に背景のボケが大きくなるため、ボケた菜の花の中に紫色のポピーが生えています。



再び菜の花に近づき、より大きなボケと圧縮効果でポピーを浮かび上がらせたものが写真Fになります。


写真C

写真D

写真E

写真F



圧縮効果は花のような小さな被写体に限らず、スケールの大きな風景でも同じ効果が得られます。
写真G~Iは丸いケヤキの木立の大きさをほぼ同じにして、背景に写る山の大きさを変えてみたものです。
パターン1と同様に、ズームを望遠側にしながら徐々に木立から離れて撮影しています。写真を見ていただければ一目瞭然でしょう。
木立の左側にある山が写真H、Iになるに従って近づき、大きく写っているのがわかります。手前の麦畑のボケがどんどん大きくなっている点にも注目ください。



写真G

写真H

写真I


この技術を応用したものが写真Jになります。超望遠レンズ(360ミリ)を使い、湿原に立つ木立に背後の山を迫らせて撮影をしています。

写真J



圧縮効果にはごちゃごちゃした花畑をすっきり見せたり、散漫に散らばる被写体(湿原に群生する花など)にボリュームを付けて見せることが可能です。
ぜひ、初夏の野山で実践していただきたいと思います。
< PROFILE >
こし のぶゆき
1968年神奈川県生まれ。カメラ専門誌や旅雑誌の撮影・取材を行なう傍ら、「メルヘンステーション」をテーマに全国の駅を撮影し、雑誌などに作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員、日本旅行写真家協会理事。



朱色が映える奈良の春日大社


階段を登ると讃岐を見渡せる金刀比羅宮
鎮守の森に囲まれた神社には、熱い季節であっても涼風が時折吹き抜けます。

神社こそまさに撮影ポイントの宝庫です。

建造物全体を風景としてとらえるのもよし、天井絵や山門、彫刻師によって掘られた欄間などを切り取って撮影するのもよし。
そして、撮影だけでなくお参りすればご利益も。

かつて、さまざまな神社を取材し、お守りを集めたことがありました。
しかし、あるときふと疑問を抱き、禰宜(ねぎ)さんに「いろんな神社のお守りを持っていていいのですか?」と尋ねたことがありました。

禰宜さんの回答は「神様同士は喧嘩をなさいません」というものでした。
どうぞ、いろいろな神社を訪ねて建造物や樹木、花などを観察してください。いろいろな景観があってとてもおもしろいものです。

あ、もちろんお参りもしてくださいね。
以下に紹介するのは実際に訪ねて印象深かった神社です。

※神社には撮影禁止の場所や祭事もありますのでルールとマナーをお守りください。
出羽三山【山形県鶴岡市】
http://www.dewasanzan.jp/index.html
1400年もの歴史を誇る出羽三山神社は山伏が有名です。また、宿坊や湯殿山に多くある古民家などの日本の原風景ともいえる景観も印象的でした。暑い季節に涼しい出羽三山をめぐり、精進料理の「山伏膳」をいただくのもいいでしょう。

鹿島神宮【茨城県鹿嶋市】
http://www.kashimajingu.jp/wp/
Jリーグの鹿島アントラーズのマスコットである鹿は、鹿島神宮では「神様のお使い」として親しまれています。境内に鹿園があり、約30頭の日本鹿が飼育されています。予想以上に深い森に驚かされました。

日光東照宮【栃木県日光市】
http://www.toshogu.jp/
ご存じ徳川家康を祀っており、現在の主な社殿群は三代将軍家光によって1636年に造替されたもの。カメラ好きにとっては極彩色の絢爛豪華な社殿や細かい彫刻など、目がいくところばかり。1日撮影をしてもまったく飽きません。

吉保八幡神社ほか諏訪神社など【千葉県房総半島鴨川市、いすみ市ほか】
http://ihachi.srv7.biz/
南房総には多くの神社、お寺があり、そこには「波の伊八(彫刻師・武志伊八郎信由)」の彫刻があります。「関東では波を彫るな、伊八にはかなわない」と言われた伊八彫刻。筆者は伊八を訪ねて数軒の神社やお寺を訪ね房総半島ハイキングを楽しみました。

富士山本宮浅間大社【静岡県富士宮市】
http://www.fuji-hongu.or.jp/sengen/
富士山をご神体とする神社。富士山信仰は古くから日本にあり、江戸の時代には富士山詣でがなかなかできない江戸の民のために「富士塚」が江戸の神社にできたほど。天気のよい日を狙えば、富士山と神社の「まさに日本」のショットが狙えます。

伊勢神宮【三重県伊勢市】
http://www.isejingu.or.jp/
東京の明治神宮、鎌倉の鶴岡八幡宮と同様、一度は訪れたい場所です。伊勢神宮ほどの規模になると、参道もなかなかの賑わいを見せており、撮影したい風情があります。昔ながらの赤福本店で名物の赤福餅に舌鼓もいいものです。

春日大社【奈良県奈良市】
http://www.kasugataisha.or.jp/
訪れたときに鮮やかな朱色に目を奪われました。回廊や御廊などもみごとです。また、バスもありますが、奈良公園から春日大社までのやや上り道のぶらぶら歩きも楽しく、寄ってくる鹿も被写体になります。

厳島神社【広島県廿日市市】
http://www.miyajima-wch.jp/index.html
海と厳島神社の景観は息をのむほどにきれいです。対岸から船で厳島神社のある宮島へ。改修工事を終えたばかりの大鳥居が海の中でお迎えしてくれます。また、宮島周辺はカキやアナゴ丼もぜひ食べたい名物です。

金刀比羅宮【香川県仲多度郡】
http://www.konpira.or.jp/menu/master/menu.html
御本宮までの785段の階段の途中にはおみやげ店から始まって大門、名物飴を売る「五人百姓」、小林一茶句碑、神馬など見どころがいっぱい。御本宮からの眺めも美しく登った甲斐があります。ウコンに漬けた金のお守りを手に入れてください。

鵜戸神宮【宮崎県日南市】
http://www.btvm.ne.jp/~udojingu/
数多くの神話が残る九州には宇佐神宮、宗像神社、霧島神宮など取材に行って印象の深い神社がたくさんあります。鵜戸神宮もそのひとつで、日南の海と神宮のコントラストがとても美しいところです。ちなみに筆者は運玉投げに成功しました!
http://www.yururi-sansaku.jp/

上記の「ゆるり散策、私鉄沿線」ホームページや「花と寺社めぐり春夏パンフレット」に紹介された寺社の写真を撮影して応募してください(紹介されていない寺社は応募できません、応募規約をチェックしてください)。
クルマもいいですが、たまには電車でのおでかけもいいですね。
写真はお寺や神社ばかりでなく、花めぐりスポット、おいしい寄り道、私鉄各社の車両、駅に関連した写真でもOKです。

応募締切:2012年8月31日(金)
賞品など:投票と主催の各鉄道会社の審査によって優秀作品を決定、10名に私鉄各社よりすてきなプレゼントがあります。
編集部が取材で出かけて撮影したたくさんの写真の中から、壁紙向きの写真をプレゼントします。お気に召されたら、壁紙などにお使いください。



今月は取材とは少々関係ありません。知人がスコティッシュフォールドの小猫を手に入れたもので…。この種類は耳が折れるのが特徴ですが、この子は立ち耳です。
< 著者PROFILE >
構成と写真
篠遠行彦
東京都生まれ。雑誌編集長などを経てカメラ&ライターになる。かつてはパキスタンの日本総領事館に勤めていたという異色の経歴をもつ。
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