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日本列島自分で"やる"旅 見るだけではつまらないから Experienceの世界へ体験
人と動物が一体になる乗馬体験しませんか?
馬は犬や猫と同様、本来なら人間と絆が深い動物なのに、自動車などの文明の発達とともに次第に縁遠くなり、時代劇や西部劇、競馬でしか見なくなってしまった。こんな時代だからこそ馬に乗ってみませんか?
東京・代々木にも馬がいるんです
僕は執筆業のかたわら東京・代々木の専門学校で講師をしている。ま、週に1日だけですけども。

講義のひとつに「イベント・プロデュース」があり、上半期はイベント運営の基礎を教え、下半期には実際にイベントを開催してみようじゃないかというわけで、生徒に企画を考えさせた。

スリッパ卓球大会だの、大人のドッジボール大会など、さまざまなアイデアが出たが、結局は学校がある代々木の町に役立つイベントをしようという案にまとまり、「代々木のいいとこみぃつけた!フォトウォーキングラリー」を開催することになった。

あらかじめ代々木町内の“おもしろポイント”を15か所設定し、ヒントをもとにそこにある何かの写真を撮るという、ウォーキングと宝探しが混ざったようなイベントだ。

13か所以上正解した参加チームには抽選券をプレゼント、デジカメなどが当たる仕組みになっている。

そんなわけで、生徒と一緒に15か所のポイントを探すために代々木の町をぐるぐる歩いた。

お風呂屋さんの大きな煙突、刀剣美術館、ドラクエのスライムの専門店、仮面ライダーの石ノ森先生の事務所(ウインドウにフィギュアが飾ってあり、仮面ライダーサイダーの自販機もある)…。知らなかったけれど、代々木には素敵なスポットがたくさんあった。

そのひとつが乗馬クラブである。駐車場には外車や大型車がずらり。颯爽と馬に乗っている人は、用具もなにもかも立派。
「縁のあまりない世界」と思って、生徒と一緒に行き過ぎると、その先に区立のポニー公園があった。

ポニーだけでなく馬もいて、小さいけれど乗馬体験もできるのだ。
少年、年に一度だけ馬に乗る
僕が初めて馬に乗ったのは小学校の低学年のときだった。

祖父が生物学の教授をしていた関係で、ゼミにも植物観察にも使える山小屋が信州の蓼科高原にあった。大学生がごろごろ眠れる作りになっており、10畳の床の部屋、和室10畳+和室10畳にトイレ、床と畳の違いがなければ30畳一間だけの山小屋だった。

小学校のころは夏休みの2週間ほどを涼しい蓼科で過ごした。午前中は宿題をやり、午後は温泉プールに行くような毎日だ。

真面目に宿題をやり、手伝いをすると帰る前日に乗馬か“らく焼き(素焼きの茶碗などに絵を描いて再度焼く)”のどちらかがご褒美で与えられた。僕は迷わず乗馬をとった。

乗馬といっても親方が綱を引きながら歩くだけ。それでも年に1回のご褒美乗馬だから、50分コースぐらいの贅沢ができる。
親方に引かれた馬はおとなしく、蓼科高原の中心地であるプール平をスタートし、緑の木々に囲まれた山道をぐるりと行く。
僕と弟は小学校の間、毎年夏の終わりに乗馬を楽しんだ。馬の名前も覚えている。「春風号」だった。

365日でたった1日のくせに、4年も5年も続けて乗っていると、「馬は僕を覚えている」と、勝手に思い込む。

小学校高学年になった僕のために、しばしの間、親方も綱を離してくれた。鞍にまたがり、手綱を自分で操作できるのがうれしかった。もともと性格のやさしい乗馬用の馬は、少年の思いのままに動いてくれ僕は有頂天になった。
馬は人の技量を見るって本当!?
中学生になると部活動などが始まり、蓼科高原に行く回数は激減した。もちろん、乗馬の機会なんてなかった。

しかし、大学を卒業後にパキスタンで2年間働き、帰国後は出版社に入ってアウトドア雑誌の担当をした僕は、大人になってから乗馬の機会に恵まれた。

パキスタンに娯楽はほとんどない。当時は(今も?)町に馬車やラクダ、ロバが溢れていた。外国人駐在者の娯楽はクリフトン・ビーチでの乗馬だった。アラビア海に面したビーチで楽しむのだ。最初は30分200ルピーなんて言っているのに、値切るうちに80ルピーぐらいになる。

パキスタン人は面倒くさがりだから、引き馬なんてやっかいなことはしない。時間単位で馬を貸すのだ。それが僕にはうれしくて、馬をビーチで駆けさせた。

アウトドア雑誌の取材でニュージーランドに行ったときのことだ。アウトドア王国だけに乗馬ツアーも盛ん。ガイドの馬が先導し、その後を僕ら一行が追う。

広い道に差し掛かったとき、背後から自転車に乗った少年軍団が奇声と共に突然現れた。慌てた馬が走り出そうとする。ガイドが必死で制したが全6頭のうち4頭が暴走し、2名の日本人が振り落とされた。

僕の馬は手綱を引いた僕の命令を厳守して、1センチも動かなかった。その後に僕は馬から降りて落馬した友人を助けたくらいだ。

「馬は乗られた瞬間に、その人の技量を理解する。最初に乗ったときのあなたの股の締め付けで技量を認め、首を撫ぜたことで信頼したのだ。だから緊急の場合も従ったのさ」と、ニュージーランドのガイドが言った。

少々自慢くさくなってしまったが、これは春風号に教えてもらったことだ。犬と猫以外の動物との初めての触れ合いで学んだ。

小学校時代の馬とのコミュニケーションは、乗馬という一面でなく多くを僕に教えてくれた。そして、夏の1日の、あのウキウキした気分は未だに忘れられない。
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旅のヒント
●乗馬クラブ クレイン
全国30カ所で展開する乗馬クラブ。1日乗馬体験も可能。
http://www.uma-crane.com/

●渋谷区立代々木ポニー公園
4歳から小学生まで乗馬ができる小さな公園。
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/ponypark.html
< PROFILE >
木場 新
休日評論家。主な出版物に『温泉遺産』、『パックツアーをVIP旅行に変える78の秘訣』などがある。ウェブサイト「YOMIURI ONLINE」に「いいもんだ田舎暮らし」を連載(http://www.yomiuri.co.jp/tabi/
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