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魅惑の温泉ドライブ古湯から日帰り湯まで、日本全国温泉行脚の旅
湯が岩底から湧いてくるいにしえの秘湯福島県天栄村/二岐温泉
山里離れ、いまでも秘湯中の秘湯と呼ばれる二岐温泉。
権力争いに敗れた宮人が発見した宿には古い言い伝えがあった。
湯船の底から湯が湧いてくるほんとうの源泉風呂
大丸あすなろ荘
所在地:福島県岩瀬郡天栄村湯本字下二俣5
TEL:0248-84-2311
東北自動車道・白河ICから白河羽鳥レイクラインを羽鳥湖方面へ向かう。

今回は、福島県にある、温泉通には有名な秘湯をめざす旅だ。

ゆるやかな勾配が続く田園風景を、ひたすら北西にクルマを走らせる。
カーブに揺られながらしばらく走ると、右手に羽鳥湖が見えてきた。

羽鳥湖は、昭和31年に完成した、周囲16km、最大水深31.2mの人造湖だ。
阿武隈川は、流域面積のわりには水量が少なく、川から離れた地域では干ばつの影響が大きかった。そこで水量が豊富な阿賀野川から取水し、白河盆地への農業用水供給を図るためにダム建設が計画された。

昭和初期に着工されたものの、第2次世界大戦のために一時中断し、戦後、建設が再開された。

この羽鳥ダムが堰き止めてできたのが羽鳥湖だ。 羽鳥湖高原の標高は約1000m。夏は避暑地としてにぎわう。湖の周囲にはキャンプ場があり、釣りや山登り、ゴルフなどを楽しむことができる。冬は温泉やスキー場を目的とする観光客も訪れる。

また、このあたりは近年では別荘地としても注目されている。

高速から約30分ほど走って国道118号に合流。西へ向かい、さらに今度は山道を再び南下する。

いよいよ秘湯の雰囲気が強くなってきた。

見えてきたのは、山間の旅館にしては大きな温泉宿。
ここが目的地の、二岐温泉・大丸あすなろ荘だ。

大丸あすなろ荘には、渓流に面した見事な露天風呂がある。
巨岩を配して作られた、野趣あふれる露天風呂。

屋外にある風呂はこれだけではない。
自然湧出の泉源を6本ももっているため、源泉かけ流しの露天風呂はまだある。林のなかに忽然と現れたかのような露天風呂「子宝の湯」。内湯から外へと続く「あすなろの湯」。いずれも、この風呂を堪能するために旅をする価値がある。

だが、この旅でほんとうに入りたかった湯船はこれらではない。

川に面した露天風呂とは明らかに異なる方向。小山のそばに一軒の木囲いの小屋が建っている。
入口の看板には、「自噴泉岩風呂」。まさしくこれが、林道をはるばる走ってきた目的だった。

自噴泉岩風呂の建物外観
一見すると、なんの変哲もない内風呂だが、湯船のまわりを注意深く観察すると、小さな引湯口がぽつんとあるだけ。それでいて温泉の水はゆらゆらとゆらめいている。

足を入れてみた。湯船の底はでこぼこしており、その岩の隙間からときおり気泡とともに熱水が噴き出している。
まぎれもなく、地下から直接温泉が湧いているのだ。

泉質はカルシウム―硫酸塩温泉。
加水もせず、湯だまりに直接入れるのは、湯船の大きさの設定もさることながら、自噴する湯が熱湯ではないことが大きいのだろう。

この岩風呂が作られたのは、享保13年(1723年)。

この温泉は、安和2年(969年)に起こった、藤原氏による他氏排斥の最後の陰謀と呼ばれる安和の変の際、皇位継承に敗れた宮人が発見したものと伝えられている。

自噴泉岩風呂の内部。
天皇親政により、理想の政治が行われたという天暦の治。その治世を司った村上天皇の崩御により、宮中は後継者問題で大いに揺れた。

右大臣藤原伊尹の陰謀に敗れたのは、左大臣源高明。謀反の首謀者との汚名を着せられた高明は大宰府に左遷される。 そのほか、土佐、佐渡、隠岐に流された公卿がいたが、落人のなかに、この地に流れてきたものがいたということか。

帰りがけ、旅館当主の佐藤好億氏に興味深い話を聞いた。

昭和39年の大雪の年に、文化財の仮指定を受けた木造の旧家屋が一部損傷してしまった。
指定をはずし、解体をすることになったのだが、建て変える費用などはない。
しかし、解体の際には宮内庁がかかわることになり、工事が始まった直後に作業はいったん中断され、家人でさえも立ち入り禁止となった。
それ以後は宮内庁の職員だけで作業に当たったという。

そもそも、旧家屋には「開かずの間」が存在し……。

その先については、私はここでは触れないでおこうと思う。
ぜひ、自分で足を運んで、直接ご主人に話を聞いてみてほしい。

ちなみに以前のこの宿の屋号は「大丸屋」。
新築した際に、「大丸あすなろ荘」という名をつけたのは高円宮様である。
< PROFILE >
長津佳祐
観光やレジャー、スローライフを中心に編集・執筆を手がける。ブログ「軽井沢別宅日記」をどうぞよろしく。 http://blog.bectac.com/
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