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テレビドラマで話題になったと思ったら、ついに映画も完成。北海道・旭川にある旭山動物園は、動物のありのままの姿、生活を見せる「行動展示」が話題となり、一躍人気が高まりました。今回は旭山動物園のお話です。

頭の上をペンギンがすいすい泳いでいます

今から数年前のこと、NHKの「プロジェクトX~挑戦者たち~・旭山動物園~ペンギン翔ぶ~」を見た私は、「ついに日本にもこんな動物園ができたんだ!」とソファから飛び上がり、歓声をあげました。なにしろ、それまでに行った日本の動物園の動物たちは、檻(おり)の中でごろごろしているのが当たり前。そこに“生活感”はまったく見られませんでした。

しかし、シンガポールを旅した時に訪れた動物園は別でした。この動物園に檻はありません。植物や川、湖などでうまく仕切られていて、自然のままのジャングルや草原が再現されています。動物がとても身近に感じられたのを覚えています。また、夜の動物園をめぐるナイトサファリも実施しており、そこには昼間は見られない勇猛な肉食動物の姿がありました。

オーストラリアを旅した時もそうでした。旭山動物園では餌をあたえる時間を「もぐもぐタイム」と呼び、動物たちが食事をする微笑ましい様子を見せていますが、オーストラリアの動物園の場合はそんなかわいいイメージとは程遠く、大きなワニが水しぶきをあげて鶏肉をバクバク食べてしまいます。それは獰猛で、少々おぞましい感じでしたが、ある意味で“野生”を感じさせる展示方法でした。

テレビで旭山動物園を見た私は、いつの日か訪れることを夢に描くようになりました。そして、そのチャンスは案外早くやってきました。旭川空港経由で富良野に出かける仕事が入ったからです。チャンス! 空港に着いたら動物園に直行、1時間だけでも立ち寄ろうと決意したのでした。
高いところが好きなアムールヒョウも頭上に

空港からタクシーを飛ばして着いた旭山動物園は雪に覆われていました。2005年の冬でしたから、ぺんぎん館、ほっきょくぐま館、あざらし館はすでに完成しており、おらうーたん館が完成して間もなくのころだったと思います。

入場券を買って園内に足を踏み入れた時の率直な感想は、「あれ、案外小さいぞ」でした。だって、上野動物園だったら東園と西園があり、そのあいだをモノレールが結んでいるくらい。

しかし、旭山動物園はうまい具合に傾斜地にあるため、ほぼ全容がゲート付近から見えるのです。さらに、訪れたのが真冬だったために、遊園地は稼働していませんでした。それもあってより以上に狭く思えたのかもしれません。

「これならすぐに見終わりそうだから、列車の出発時間も余裕で間に合う」と思ってまわりはじめたら、あらら。ひとつひとつの館が全然見終わらないのです。

雪の中のライオンはかっこがいいですね

あざらし館では「マリンウェイ」と呼ばれる透明の円柱水槽を、アザラシが通り過ぎる瞬間の写真が撮影できなければ、とても立ち去れません。でも、当時持っていたコンパクトデジカメは、シャッターを押してもすぐに撮影できないものだから、ぜんぜんいい写真が撮れず……結局、長居してしまうのです。

ぺんぎん館でも水中トンネルの真上をペンギンに飛んでほしい。ホッキョクグマにだって水に飛び込んでほしい。
ペンギンの行進はよちよち歩いたり、雪の上を滑ったり、新雪にもぐったり。ここでも最高傑作の写真をものにしたい。

結局、列車の出発時間に追われ、園をぎりぎりに出て、タクシーの運転手さんにムリを言って飛ばしてもらったのでした。ちなみに、動物園から旭川駅まで、けっこう距離があるのでご注意を。
冬のホッキョクグマは堂々としています

これは動物園の飼育係に聞いた話ではないので、根拠はそんなにありません。でも、観ていて気付いたことです。

冬の旭山動物園には、ファーのフード付き白っぽいコートを着て行きましょう。めざすはほっきょくぐま館です。ファーの位置を水際にセットして、わざとファーをふわふわさせながら待機するのです。

すでにホッキョクグマのほうで学習済みかもしれませんが、4年前のあの日は白いファーを目がけて何度も水に飛び込む姿を見ました。ホッキョクグマはアザラシの子どもを狙うといいますから、白いファーがそれに見えて、何度も飛び込んでいたのではないかしら。

ペンギンは光ものに弱い!? わざと目に向けて光を照らすのは悪質ですが、壁などに映った腕時計に反射した光にペンギンは興味を示します。それが移動するたびに目で追う姿はすごくかわいい。南極でもかすかに見える太陽を、あの小さな目で追っているのでしょうか。

檻のないシンガポール動物園での1カット

そして、もっとも私がお勧めしたいのが、「冬に行ったら夏にも行く」ということです。その後、2年が経ってから今度は夏の旭山動物園に行く機会がありました。すると、すごく大きな発見をするはずです。それは、「冬に元気な動物は夏に元気がない。夏に元気な動物は冬に元気がない」という、当たり前のことなんです……が。

冬にあんなに元気だったアザラシやホッキョクグマは元気がなく、冬におとなしかったオラウータンやチンパンジーはすごい活動量。
同じ動物でも、夏と冬ではまったく違う姿を見せます。その代表格はホッキョクギツネで、もうびっくりです。夏は貧弱で、やや茶色がかったやせキツネが、冬は全身真白で冬の王子さまといった風格を見せます。

さて、冬と夏の両方に行こうという提案は、旭山動物園に限ったことではありません。気軽なドライブで出かけられる動物園で試してください。改めて、動物のおもしろさに気づくでしょう。加えて、夜の動物たちの行動も必見。動物園は冬と夏、昼と夜、これらをすべて観察してこそなのです。


【旭山動物園】
ホームページを見るだけでウキウキ気分になります
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/

【東京ZOO NET】
上野動物園、多摩動物公園などの東京の動物園を紹介
http://www.tokyo-zoo.net/index.html

【富士サファリパーク】
4月中旬からナイトサファリを開催。夜の動物は魅力的
http://www.fujisafari.co.jp/index.htm

【九州自然動物公園アフリカンサファリ】
ゴールデンウィークや夏休み期間はナイトサファリを開催
http://www.africansafari.co.jp/

< PROFILE >
石井 喜代美
ご主人がアウトドア・旅行雑誌の編集者をしており、その関係で国内外の旅に同行。ブランドショップより地元の市場、高級レストランより庶民の味、そして動物園と水族館には必ず行く主義だとか。キャンプや温泉にも詳しい。
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