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新年を迎え、身体の毒素を排出してリフレッシュしたい。
それにぴったりの温泉が砂蒸し風呂や岩盤浴。
水をたっぷり飲んで汗をかけば新しい自分に生まれ変わるようにスッキリする。

大噴の湯付近の窪地やテントを張っている場所が岩盤浴をするところ。ゴザを敷いて横たわる。 玉川温泉
http://www.tamagawa-onsen.jp/

所在地:秋田県仙北市田沢湖玉川字渋黒沢 TEL:0187-58-3000
正月休みに実家に帰ると、亀のようにこたつに入ったまま、酒びたりとなる。これが正月なのだから、と怠惰な自分を正当化し、食っちゃ寝、飲んじゃ寝の道楽の日々。だが、そうは言っても、3日もするとだんだん腰が落ち着かなくなってくる。

「日帰り温泉でも行こうか」

とくに示し合わせたわけでも、家族のみんなが温泉フリークなわけでもないのだが、ここ数年、近くの日帰り温泉にある砂蒸し風呂が、我が家の正月イベントの定番となりつつある。普段なかなかまとまった時間が取れずに楽しめないから、その特別な感じと、身体の芯からおびただしい汗が噴き出すのが、新年を迎える気分にちょうど合っているのかもしれない。

都心では、砂風呂ならぬ、岩盤浴が増えている。大きな駅の広告看板を見れば、必ずといっていいほど岩盤浴の施設を宣伝しているほどだ。何度か体験したことがあるが、遠赤外線効果のある溶岩を練り込んだ一枚岩が部屋のなかに何列も並べてあり、その上に横たわって発汗をうながす。

それなりに気持ちはよく、かなりの汗が出る。しかし、そこは都会のビルの中。天井からの圧迫感は否めない。
この岩盤浴を、太陽の日差しの下で体験できる温泉がある。秋田県・玉川温泉の「野外天然オンドル」だ。地面から噴煙や蒸気が噴出する荒野の石の上にゴザを敷き、日よけの傘を広げてそこに横たわる。

源泉の「大噴の湯」は十和田湖八幡平国立公園内にあり、一帯から湧出する熱湯の泉質はPH1.2という超強酸性。かつてこの酸性水を中和するために田沢湖に導入して希釈しようとしたが、生息していた魚を全滅させてしまうほど強力だった。
また、玉川温泉は、ラジウムなどの微量の放射線を持つ「北投石」を産出する。日本では唯一玉川温泉にしかなく、天然記念物にも指定されている。世界でも台湾と南米チリでしか確認されていないという、たいへん貴重な資源なのだ。
昭和26年に湯治場として開発され、この石や地熱の持つ自然治癒力から、「癌を治す奇跡の温泉」として喧伝されるようになった。現在では予約のなかなか取れない温泉地として人気を博している。
昭和13年に建設された唐破風造りの入口。木造建築の外観は別府温泉のシンボル的な存在にもなっている
竹瓦温泉
所在地:大分県別府市元町16-23
TEL:0977-23-1585
入浴料金:普通浴(男湯)100円/普通浴(女湯)100円/砂湯1000円
営業時間:普通浴6:30~22:30/砂湯8:00~22:30(最終受付は21:30)
休業日:普通浴:12月の第3水曜日/砂湯定休日:毎月第3水曜日
「砂蒸し」で思い起こされる天然の施設といえば、鹿児島県・指宿温泉(いぶすきおんせん)だろう。いまから約300年前、元禄年間に始められたと伝えられる。

指宿駅南東の海岸は摺ヶ浜(すりがはま)と呼ばれ、長さ約1kmにわたり、砂を少し掘っただけで温泉で加熱された高温部が現れる。

浴衣を着て、頭にはタオルを巻いて砂が身体に付着しないようにしてから、シャベルを持った係員に適温になった砂を盛ってもらう。

公営砂むし会館「砂楽」を中心に、この地域の文化を保全しながら観光に役立てている。

砂むし会館「砂楽」
所在地:鹿児島県指宿市湯の浜5-25-18
TEL:0993-23-3900
営業時間:8:30~21:00
定休日:年中無休

もうひとつ、砂蒸し風呂で忘れてならないのは、西の温泉地の横綱、別府温泉郷にある竹瓦温泉だろう。
別府温泉を代表する景観として象徴的な存在になっている。入口は中央部が弓のように湾曲した唐破風造り。愛媛県の道後温泉を彷彿させる造りだ。

道後温泉は明治27年に建築された三層楼であるのに対し、竹瓦温泉は昭和13年に建造された木造2階建て。創設は明治12年と歴史があり、当初は竹屋根葺きの浴場で、その後改築されたものが瓦葺きになったことから竹瓦温泉という名称で親しまれるようになった。

それほど大きくない玄関で靴を脱ぐのは昔ながらの日本の伝統。軽く入浴してから浴衣に着替え、砂湯に向かうと、天井が2階ほどの高さまで吹き抜けになっている。

竹瓦温泉の泉質は炭酸水素塩泉。砂湯は単純温泉なので無味無臭だ
指示されたように仰向けになると、お腹から足、手、上半身と砂をかけてくれる。暖気が徐々に背中から伝わってくるのがわかる。顔がかゆくなっても我慢。手や足を動かしたくなっても我慢。
ひたすら我慢すること約10分。汗でだらだらになった身体を、砂から出して開放されたときの気分は爽快だ。慣れてくると10分では物足りなくなってくるから不思議だ。

近所の砂蒸しと比較するとわかるのだが、どうやら絶妙な砂の粒の大きさがあるようで、あまり大きいと粒のざらつきを肌に感じてあまり気持ちよくない。

重さを感じるとかえって苦痛になる。砂かけさんのさりげない心づかいや力量が心地よさにつながっているようで、歴史ある公共温泉の底力はこういうところに表れるのだろう。

秋田県・玉川温泉
冬季も営業しているが、あたりは雪に覆われている。地熱のオンドルは岩盤に張られたテントの中に入って体験することになる。ただし、国道341号線は通行止めのため、日帰り入浴はできない。日帰り休憩と入浴は手前の新玉川温泉か湯治館そよかぜに宿泊している客が対象で、送迎もしてくれる。

大分県・竹瓦温泉
大分自動車道 別府ICから別府駅方面へ車で約15分とアクセスは便利。ただし、駐車場はないので、近くのパーキングを利用するか周辺に宿泊しての利用となる。
< PROFILE >
長津佳祐
観光やレジャー、スローライフを中心に編集・執筆を手がける。最近はじめたばかりのブログ「軽井沢別宅日記」をどうぞよろしく。 http://blog.bectac.com/
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